Q3. 公社の印象や緑ヶ丘団地の魅力はどのようなところにありますか? ミドラボでいつもご一緒する公社の職員の方はもちろんですが、参考事例として見学させていただいた二宮団地や相武台団地、フロール元住吉でも、みなさん楽しみながら熱心に取り組まれている姿が印象的です。素敵ですよね。 緑ヶ丘団地のような昭和30年代の団地は、いま残っているなかでも最も古い部類に入ると思います。現在の建物と比べると見劣りする部分はあるかもしれませんが、棟間隔が広く、緑豊かでリッチな環境だと思います。逆にいま、こうした環境を新築でつくることは難しいのではないでしょうか。この資産を団地のなかだけで持て余すのはもったいないので、周囲に開いていくのもいいかもしれません。その先には、団地にこれまであまりなかった「稼ぐ」という営みへの可能性も見えてくると思います。団地を持続させていく上で欠かせない要素です。 海外では古い建物に魅力を見出す「ヴィンテージ」という価値観がありますが、長く住まわれてきた団地の価値も文化財のようにポジティブに捉えることができるはずです。時間が経てば経つほキャンパス内のORANGE(基本計画・総合監修:市原出+東京工芸大学建築意匠研究室)で行った学生コンペの発表会。この会場もリノベーションの「教材」となった大学院生の森口拓生さんは、団地で生活しながら住戸の環境測定を日々してくれています。地域の方々と触れ合うなかで、机上では得られない視点が養えているのではないでしょうか。「学び、制作、暮らし、にぎわいが一体となったもうひとつのキャンパスづくりをミドラボで目指していきたいと思います」と語る森田教授(右)Q4. ミドラボの今後の取り組みと、学生にどのようなことを期待しますか? 地域の活動に参加するとき、私たち大学は良くも悪くも「よそ者」です。そこにずっと居続けることは難しいわけですから、どんな風が吹き込めて、何を残し、どうバトンタッチしていくかを考えながら関わっていくことが多いです。ところが緑ヶ丘団地は大学から近く、しかも学生が住めるというポテンシャルがある。「学ぶ」「つくる」「暮らす」「つながる」が一体となった、もうひとつのキャンパスがここにできると面白いですよね。 スタートを切った2018年度は、団地でどんな暮らしができるか、建築学科の設計課題でとり上げて、まずは自由に考えてみました。2019年度は、空室の目立つ上層階にどんな暮らしを埋め込めるか、住戸のリノベーションにテーマを絞りました。もともとは家族向けに設計された37m2に1人で贅沢に暮らす。建物が余り始めたいま、掘り下げがいのあるテーマです。窓の開閉方式を工夫することで室内に風を効果的に取り込むしくみや、健康・快適性に配慮したウェルネス住宅の実験も進んでいます。そして今年度からは、建物の外に目を向けて、地域のための場や空間をどうつくれるかを考え始めたところです。芸術学部のみなさんとは、団地のプロモーションビデオづくりのチャレンジが動き出しています。ど、価値が増すという見方です。
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