当公社賃貸住宅における吹付けアスベスト等の使用実態について
アスベストに関する「Q&A」(平成29年7月26日更新)
昨今、注目されておりますアスベスト(石綿)に関する基本的な情報と、神奈川県住宅供給公社のアスベストに関する対応について、質問/回答(以下Q&A)を作成しましたので、お知らせ申し上げます。
なお、国土交通省、厚生労働省、(一社)JATI協会、神奈川県、横浜市、東京都等のホームページにもアスベストに関する「Q&A」が掲載されておりますので、ご参考にしてください。
1.一般事項
- Q1 アスベストとはなんですか?
- Q2 アスベストがなぜ問題なのですか?
- Q3 吹付けアスベスト以外にアスベストはどんな建材に含まれているのですか?
- Q4 アスベスト含有建材(固定化した成型品)は問題ないのですか?
- Q5 建材にアスベストが使われていた場合、建築基準法上問題はないのですか?
- Q6 アスベストを含有する建築材料は、今でも使われているのですか?
2.神奈川県住宅供給公社に係わる住宅にお住まいの皆様へ
1.一般事項
- Q1アスベストとはなんですか?
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アスベスト(石綿)は、「せきめん」「いしわた」とも呼ばれており、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物の総称であり、クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの6種類があります。
アスベストは、耐熱性、耐薬品性、抗張力、耐摩耗性、絶縁性等の諸特性に優れているため、建設資材、電気製品、自動車、家庭用品等3,000種を超える利用形態があるといわれています。
しかし、その繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付けアスベストなどの除去等において所要の措置を行わないと、アスベストが飛散して人が吸入してしまう恐れがあることから、大気汚染防止法や石綿障害予防規則等の規制の対象となっています。
(神奈川県アスベストに関する様々な質問に対する回答集(アスベストQ&A集)より)
- Q2アスベストがなぜ問題なのですか?
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アスベストは、その繊維が極めて細く※、容易に空中に浮遊します。このため、人の呼吸器から吸入しやすいという特質を持っています。
また、アスベストは丈夫で変化しにくいため、吸い込んで肺の中に入ると組織に刺さり、15~40年の潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫などの病気を発症する恐れがあります。このため、アスベストを吸い込んだことに気づかないまま、病気を発症することがあります。
現在、アスベストばく露に関連があるとして確認されている疾病は、石綿肺、肺がん、悪性中皮腫(胸膜、腹膜、心膜、精巣しょう膜)の3疾患に加え、良性胸膜疾患として、良性石綿胸水(石綿胸膜炎)、びまん性胸膜肥厚があります。これらはいずれも空気中に浮遊するアスベストを吸入することにより発生するとされています。
アスベストは、そこにあること自体が直ちに問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで飛散防止等が図られています。
※クリソタイル(白石綿)の繊維は、径0.02~0.03μm、繊維束は径1~2μm
岩綿の繊維は径3~10μm、ちなみにスギ花粉は30μm
1μm(マイクロメートル)は0.001mm(ミリメートル)参考 環境省ホームページ 一般啓発用パンフレット
http://www.env.go.jp/air/osen/law/03.pdf
東京都ホームページ 東京都アスベスト情報サイト
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/air/air_pollution/asbestos/index.html
(神奈川県アスベストに関する様々な質問に対する回答集(アスベストQ&A集)より)
- Q3吹付けアスベスト以外にアスベストはどんな建材に含まれているのですか?
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アスベスト含有建材には、住宅屋根用スレート、サイディング、石綿セメント板、ケイ酸カルシウム板等の成型品があり、幅広く使用されています。
詳しい情報は、「国土交通省・経済産業省 石綿(アスベスト)含有建材データベース」でご覧いただけます。
http://www.asbestos-database.jp/
- Q4アスベスト含有建材(固定化した成型品)は問題ないのですか?
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アスベストは、その繊維が空気中に浮遊した状態にあると危険であるといわれています。
従って、板状に固めたスレートボードや天井裏・壁の内部にある吹付けアスベストからは、通常の使用状態では室内に繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。このことは、環境庁・厚生省(当時)から以下のように通知されています。
「建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について(通知)」①アスベストは、建築物内では、壁・天井・床等各種の建築材料として、また、耐火材、吸音材、断熱材等として用いられているが、それらの中の多くのものは、セメント板、プラスティック材等の原料の一部として固定されているので、空中に飛散する可能性のあるものは、吹付け材、板状材の表面の破損部分や磨耗部分等である。
従って、良好な状態にある材料では、加工などの操作を行なわない限り、飛散のおそれはないと考えられる。②アスベストは、繊維として空気中に浮遊した状態にあると、人が吸入した場合、肺がん等の原因となりうるが、固定され、空気中に浮遊しない状態では、健康障害をおこすことはないと考えられる。
(昭和63年2月1日付け 環大規第26号、衛企第9号 環境庁・厚生省より抜粋)
- Q5建材にアスベストが使われていた場合、建築基準法上問題はないのですか?
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平成18年2月10日に公布された改正建築基準法において、建築材料への石綿等の添加及び石綿等をあらかじめ添加した建築材料の使用が禁止され、平成18年10月1日より施行されました。これに伴い、吹付け石綿及び吹付けロックウールでその含有する石綿の重量が当該建築材料の重量の0.1%を超えるものが使用されている建築物については、増改築、大規模修繕・模様替の際に、原則として、吹付け石綿等を除去することとされました。ただし、従前の床面積の2分の1を超えない増改築及び大規模修繕・模様替については、当該部分以外の部分は、封じ込め及び囲い込みの措置を許容することとされています。
(神奈川県アスベストに関する様々な質問に対する回答集(アスベストQ&A集)より)
- Q6アスベストを含有する建築材料は、今でも使われているのですか?
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アスベストは、かつて建材製品等に幅広く使用されており、1970年代には年間約30万トン前後が輸入されていましたが、1990年代には輸入量が減少に転じ、2000年は10万トン以下に、2004年には8千トン程度、2006年には0トンとなりました。
アスベストの使用等については、労働安全衛生法等により、次のとおり規制が強化されてきています。
- 昭和50年:重量で5%を超えるアスベストを含有する吹付け材の吹付けを禁止
- 平成 7年:青石綿及び茶石綿を含有する製品の製造等(製造・輸入・譲渡・提供・使用)を禁止
- 平成16年:青石綿や茶石綿を除くアスベスト(白石綿等)を1%を超えて含有する建材等の製品の製造等を禁止
- 平成18年:代替困難な製品(特定の用途で使用されるジョイントシートガスケット等)を除くアスベスト及びアスベストを0.1%を超えて含有する全ての物の製造等の禁止
- 平成23年:代替困難なものとして製造等の禁止が猶予されていた製品のうち一部の製品について製造等の禁止
- 平成24年3月1日:製造等の禁止の猶予措置が終了
・アスベスト及びアスベストを0.1%を超えて含有する全ての物の製造等を禁止
(ただし、平成18年9月1日の時点で既に建材として建物に組み込まれているもの等は使用禁止の対象外)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/hourei/dl/hou20-350.pdf(神奈川県アスベストに関する様々な質問に対する回答集(アスベストQ&A集)より)
2.神奈川県住宅供給公社に係わる住宅にお住まいの皆様へ
- Q7神奈川県住宅供給公社の賃貸住宅にアスベストは使用されているのですか?
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平成17年に国土交通省からの依頼(「公共住宅における吹付けアスベストに関する調査」)に基づいて、吹付けアスベスト及びアスベスト含有吹付けロックウール(以下、「吹付けアスベスト等」という。)の再調査を実施致しましたところ、居室等(居室、台所、浴室、便所、バルコニー、住戸内廊下等)について、該当するものはありませんでした。
また、アスベスト含有建材については、建築材料として石綿セメント板やケイ酸カルシウム板等の壁下地材及び断熱材等で、一般的に使用されております。当公社の賃貸住宅では、石綿セメント板でバルコニー隔板等に使用されている可能性はあり、これについては外壁塗装工事の際に順次交換しております。
これらの成型品等は、通常の使用状態では室内に繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。
万が一、破損等発見された場合は、管轄の管理会社((一社)かながわ土地建物保全協会または(一財)若葉台まちづくりセンター)までご連絡ください。
- Q8神奈川県住宅供給公社のケア付高齢者住宅にアスベストは使用されているのですか?
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平成17年に国土交通省からの依頼(「公共住宅における吹付けアスベストに関する調査」)に基づいて、吹付けアスベスト等の再調査を実施致しましたところ、居室等について、該当するものはありませんでした。
また、アスベスト含有建材については、建築材料として石綿セメント板やケイ酸カルシウム板等の壁下地材及び断熱材等で、一般的に使用されております。
これらの成型品等は、通常の使用状態では室内に繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。
- Q9神奈川県住宅供給公社の分譲住宅、特定優良賃貸住宅及び土地担保賃貸住宅等にアスベストは使用されているのですか?
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アスベストそのものの吹き付けは、昭和50年に原則として禁止され、さらにアスベスト含有ロックウールについては、昭和55年に業界の自主規制が行われて使用が減っていきましたが、湿式工法によるものなど、平成元年頃まで使用されていた可能性があります。
従って、平成元年より後に施工された建物には、これらが使用されている可能性は少ないといわれています。
また、アスベスト含有建材については、建築材料として石綿セメント板やケイ酸カルシウム板等の壁下地材及び断熱材等で、一般的に使用されております。
これらの成型品等は、通常の使用状態では室内に繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。
当公社の分譲住宅では譲受人の皆様(管理組合等)に、特定優良賃貸住宅等では建物のオーナー様等に、設計図書をお渡ししておりますので、保管されている設計図書の中の「仕上表」で「吹付けアスベスト(石綿)等」の記載の有無をご確認ください。
設計図書でアスベストの使用がわからない場合は、目視による確認や、専門家への相談をお勧め致します。
設計図書の確認方法等でご不明な点があれば、戸建ては専門家に、マンションは管理会社にお問合せされることをお勧め致します。(当公社が管理している住宅等につきましては、公社不動産賃貸事業部設計監理課へ問い合わせ願います。)
なお、アスベストが含有されているかの有無は、専門機関への成分調査等の依頼をお勧め致します。
<参考> 専門機関
(一社)日本環境測定分析協会 Tel 03-3878-2811
(一社)神奈川県環境計量協議会 Tel 045-790-5280
(公社)日本作業環境測定協会精度管理センター Tel 03-5625-4280
- Q10神奈川県住宅供給公社の分譲住宅、特定優良賃貸住宅及び土地担保賃貸住宅等にアスベストがあることが確認されました。どのようにすればよいのですか?
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吹付けアスベスト等は、劣化により繊維が飛散する恐れがありますので、まず、現在の状態を把握する必要があります。劣化している場合は、早急に除去・封じ込め・囲い込みの工法による飛散防止対策が必要です。また、その状態がしっかりしていて直ちに飛散する恐れがない場合であっても、劣化の進行による飛散を防止するため、早めに除去等を行うこと検討してください。除去等の工法の選択に関しては、吹付けアスベスト等の劣化状況や部位等の条件によりますので、詳細につきましては、専門の業者にご相談・ご依頼することをお勧め致します。