取り組み方針
当公社賃貸住宅では、年々「住まい手の高齢化」が進行していることを受け、これまで行政や入居者等と連携し様々な取組みを行ってまいりました。
こうした取組みを加速させるべく、令和3年度に策定した経営計画における公社の役割のひとつとして「高齢者等が安心して暮らせる環境の提供」を掲げました。
これからも、関係者との協力・協働を通じ、課題対応に向けた取組みを実践してまいります。
1 令和3年度の取組み
1孤立死等対策に関する協定締結について
平成26年度から各自治体様、各種団体様と「孤立死等対策に関する協定」を締結し(下表参照)、近年社会的に増加している孤立死等の防止に取り組んでおります。
協定締結先一覧(令和4年3月31日時点)
2ご入居者・管理会社・公社での検討会
平成24年度からご入居者の代表者様・管理会社・当公社の三者で「孤立死等防止検討会」を発足し、定期的に孤立死に関する意見交換・情報共有を行っています。令和3年度は神奈川県まん延防止等重点措置が発せられた影響もあり、隔月での開催は実現できませんでしたが、上半期、下半期で各2回ずつ開催し、コロナ禍における見守り活動等について協議しました。また、孤立死等対策に関する掲示や回覧等について、団地みまもりサポーター事業に参画している自治会の協力のもと、ご入居者への周知を実施いたしました。
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孤立死等対策のお知らせ (夏)第18号 令和3年7月5日発行(冬)第19号 令和3年11月15日発行(PDF)
例年共通の題材である「熱中症(夏)」「ヒートショック(冬)」の予防に加え、令和3年度は住宅のベランダからお子様が転落する事故が全国的に増加していることや、長期間不在住戸における安否確認が多発したことから、これらを併せて周知することといたしました。
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県公社のたより 第29号 令和3年11月15日発行(PDF)
これまで社内で検討を重ねてきた「情報技術による見守り支援サービス」(詳細は(4)その他の取組みに記載)について、サービスの仕組みについての説明と、導入の準備を進めていることについて、ご入居者へ周知いたしました。
3団地みまもりサポーター制度
高齢者等の見守り活動や団地共用部の美化活動など、自治会の活動を支援することを目的とした「団地みまもりサポーター事業」は、令和4年3月末時点で全21の自治会に見守り活動のご協力をいただいています。ご入居者と距離が近い「自治会」は第一報通報者として安否確認時に大きな役割を果たしています。当公社は、今後も取り組みの趣旨をご理解いただいた自治会と順次協定を締結し、見守りの輪の拡大のために、より一層注力して参りたいと考えています。
4その他の取組み
- 新たな取組み
- 「公社のみまもり支援サービス(RefPaC〈レフパック〉)」(令和4年2月~)
当公社では、これまで「住宅の外からの見守り」を推進してきましたが、今般のコロナ禍による外出自粛などにより、住民同士の見守り機会が減少するという新たな課題を認識しました。そこで、新たな見守りの手段として「住宅の内からの見守り」を当公社の費用負担にて導入することで、コストは誰が負担するのか?という大きな課題を克服し、見守られる人と見守る人の双方に安心感をお届けするため、令和4年2月1日より「公社のみまもり支援サービス(RefPaC)」の段階的な提供を進めています。 - 募集状況(令和4年3月31日時点)
コロナ禍の影響により、住民説明会の開催を控えていましたが、今後は対象団地をさらに広げて参ります。また、対象者につきましても、ゆくゆくはすべての単身者、高齢世帯に拡げる予定です。
なお、参考に直近の課題を記します。
(1)このサービスは電子メールを使用しますが、通知メールを送達できない方がいらっしゃいます。これは、迷惑メール設定など、お客様のご使用になるメールサービスのキャリアや機器等に依存するため、解消するために相応の手間がかかります。
(2)通信機器は、ある操作をすると電源をオフにできますが、誤ってオフにしてしまったケースが2件起きています。再起動にはコツがいるため、特に高齢のお客様にとっては復旧が難しく、当公社職員が訪問することで解決しています。
このように、課題を解決しながらのサービス開始となりましたが、お客様からは「公社が私たち(高齢者)のことを考えてくれているのがうれしい」との評価を頂いています。当公社では、今後もより良いサービスを提供できるよう、このサービスを改善しつつ広げていきたいと考えています。
- 「公社のみまもり支援サービス(RefPaC〈レフパック〉)」(令和4年2月~)
- 継続している取組み
- 管理会社による高齢単身ご入居者の見守り活動「ライフサポート事業」(平成25年11月~)
- 戸塚区地域ネットワーク見守り事業「みまもりネット」への事業者登録(平成28年7月~)
- 協定締結先への相談・連携等
- ご入居者に問題が発生し、当公社単独では解決が難しいとき、協定締結先が運営する地域包括支援センター等に相談に乗っていただくなどして、すみやかな解決が実現いたしました。
2 安否確認結果と考察
安否確認発生件数は前年とほぼ同じですが、救命件数は前年の2倍となっています。仮説となりますが、コロナ禍が以前より落ち着き、自治会活動等(見守り活動含む)が徐々に再開できていることにより、見守りの機会が増え、救命につながった件数が多かったのではないかと考えています。また、死亡者件数は前年より大幅に減少し14件となっています。この件数は当公社で発生した死亡者数のなかでも最低件数であり、同件数を記録した平成27年度から数え6年ぶりの最低件数となりました。
また、前述のとおり令和3年度は2月から一部団地でみまもり支援サービスを開始したことから、今後、救命件数等の減少に結び付くことが期待されるところです。
表1 安否確認発生件数及び生存入居者の推移
令和3年度における孤立死等対策のレポートは以上となりますが、当公社は、今後も関係者の皆様との連携に基づき更なる体制充実を図り、より安心してお住まいいただける住環境の提供に努めて参りますので、引き続きご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
令和4年4月20日現在