ミドラボとは
神奈川県住宅供給公社と東京工芸大学は、2018年1月に厚木市緑ヶ丘エリアの活性化に向けた連携協定を締結し、「ミドラボ」という教育・研究プロジェクトを立ち上げました。大学が持つテクノロジーとアートの力を生かし、学生による建築・ランドスケープの設計提案や、健康で快適なウェルネス住宅の実証実験、マンガ・映像を用いた地域のメディア制作などを行っています。
森田芳朗(ミドラボ:東京工芸大学工学部教授)

主な取組み紹介
▼コミュニティに関する研究提案「オープンストリート」フェンスで閉ざされた団地のオープンスペースを少しずつ開きながら新しい生活の風景を生み出す「オープンストリート」構想を実践しています。団地内の屋外スペースに新たに「道」を通したり、交流スペースを設けたりすることで地域コミュニティ活性化を目指す研究プロジェクトです。社会実験などを行いながら、その効果や実現性検証に取組んでいます。
(本研究が、第20回集合住宅再生・団地再生・地域再生学生賞にて最優秀賞を受賞しました。)
写真:高橋菜生写真事務所
▼ウェルネス住宅に関する研究
団地の空き住戸を用いて、ウェルネス住宅(健康に暮らせる住宅)を団地などの住宅で実現を目指すための研究を行っています。既存住戸の室内環境測定や消費エネルギーの測定を行い、調湿・断熱化の効果検証、日射をコントロールする緑化ルーバーの提案など、建築環境分野の様々な研究を継続的に進めています。
写真:高橋菜生写真事務所
▼プロモーションビデオ制作
ミドラボによる学部を超えた取組みとして、工学部と芸術学部が協力してプロモーションビデオの制作にもチャレンジしています。
2021年
工学部の映像メディア研究室の学生が、「工芸大生を対象とした、緑ヶ丘団地の学生入居促進」を共通のテーマに、それぞれの視点で絵コンテから撮影、動画編集を行いました。
タイトル:緑ヶ丘団地のメリット 東京工芸大学へのアクセスが良い!
チーム名:チームKFC(藤縄 亮、康 瀚文、CHEN MINGJIE、井尻歌衣)
大学と緑ヶ丘団地の立地に着目して、通学がしやすいことを魅力として表現しつつ、一日の始まりから団地内でのご近所さんとのふれあいなど、日常風景も取り入れて、より緑ヶ丘団地の生活をイメージしやすいように仕上げています。チーム名はメンバーの名前のイニシャルを繋げたものです。
タイトル:東京工芸大学物語 アッコとミドリ
チーム名:映像メディア女子ず(村中 藍、堀内 紀香、横山 美月、福田 碧衣、井尻 歌衣、田中 宰(PN:電柱治))
緑ヶ丘団地で一人暮らしをする先輩のもとへ後輩が訪れ、自分らしい理想の部屋をちょっとしたアイデアでつくることが出来るという魅力を、実写とマンガを用いて表現しています。登場人物の先輩と後輩の声優は、参加学生の村中藍さんが一人二役で務めています。
担当教員コメント

工学部 工学科 兼 東京工芸大学生活協同組合 理事長
森山 剛 教授
標題:生きがいや幸せを応援するような工学研究を盛り上げていきたい
私は、厚木市行政映像制作「厚映」を立ち上げて学生たちと10年近く取り組んできたこともあり、地域振興をとても大切に思っています。今回、建築の森田先生から、本学生協の理事長として何か協力してくれないかとお声がけ頂いてミドラボプロジェクトとの関わりがスタートしましたが、団地というライフスタイルに学生にもっと入って貰うには、学内外にもっと発信していかなければならないと思いました。そこで、プロモーションビデオの制作を提案しました。はじめは私自身で簡単な映像を作って内部に紹介するところから始め、今年度はいよいよ両学部の学生さんに参加して頂いてとてもユニークな作品たちが誕生しました。今後はミドラボの中で、私自身の研究テーマである生きがいや幸せを応援するような工学研究を盛り上げて発信していきたいです。

芸術学部 マンガ学科
細萱 敦 教授
標題:マンガ制作で培ったアイディア力でもっと団地を盛り上げたい
マンガ学科が厚木キャンパスにもあったころ、マンガを地域や学内に役立てようといろいろな企画を立ち上げました。特に工学部には面白い研究をしている学科があるぞ、ということでロボットがサッカーをする電子機械学科、厚木の河川の水質を調査する生命環境化学科などを取材しマンガにしました。したがって今回ミドラボのプロジェクトで団地を活性化するという企画には自然に合流しました。団地の魅力を高めるリノベなどに奇想天外なアイデアがお役に立てたかと思います。韓国からの留学生に子どもの頃の団地生活を思い出してもらったマンガでは、微妙に違う団地の成り立ちも比較でき興味深かったです。さらに人間の居住に関するユニークな研究をされている建築コースの先生方を取材しマンガで紹介することも、人と住まいの関わりを見出せて有意義なことと思います。
2022年
研究プロジェクトの一つである「オープンストリート」をもとに、「工芸大の研究室配属前の3年生に、ミドラボを知ってもらう」ことをテーマにして、工学部の学生が構成・撮影・編集を担当し、芸術学部の学生が音楽制作を担当しました。
タイトル:オープンストリート
制作:田村裕希研究室、久原泰雄研究室
団地プレイロットに道をとおす「オープンストリート」構想。提案から実証実験に至る経過をご紹介します。

担当教員コメント
工学部建築コース
田村 裕希 准教授
標題:オープンストリート:構想からコミュティベンチ制作までのドキュメント
団地プレイロットに道をとおすことはできるのか。「オープンストリート」構想の提案から実証実験に至る経過を映像として記録しました。デザイン提案から、住民説明会を経て、イベントのフライヤーのデザインとポスティング、そして実証実験当日に回収されたアンケートから最後は集会所の庭が道に導かれて拡張し、今後の検討に引き継がれます。建築設計を専攻する学生が、地域の住民や専門家と共同して奮闘する様子をご覧下さい。

芸術学部インタラクティブメディア学科
久原 泰雄 教授
標題:「オープンストリート」プロジェクトの音楽制作
ありがちなフリー素材や既成曲ではなく、個々の映像の特徴に適したオリジナルの音楽を作れば、動画のクオリティは格段によくなります。そこで、「オープンストリート」のコンセプトにあった開放的で、軽快で、親しみやすく、思わずプレイロットをスキップしたくなるような音楽を制作しました。アコースティック・ギターを主体としたシンプルな構成で、耳に心地よく響き、学生たちの活動を引き立てる仕上がりになっています。
団地活性サポーター
「団地活性サポーター」とは、地域活動への参加・企画・運営、レポートの提出など、数々の条件をクリアすることで家賃が半額となる制度により入居した学生のことです。大学での専門分野を活かしながら、公社の団地に居住し、団地活性サポーター(学生)、公社、地域住民とともに地域コミュニティの活性化を目指す活動を行っています。
▼ミドリバ
あまり使われていない団地の集会所を、“みんなの居場所”として定期的に開いていく試みとして、令和4年6月からスタートしました。団地活性サポーターが企画・運営を行い、これまでスマホお悩み相談、ボードゲーム大会、地元子供会とコラボしてクリスマス会などを実施してきました。“みんなの居場所”として、地域のみなさまと一緒に育てていければと思います。
活動の様子(実話)を同大学の学生がマンガで描いてくれました。
ミドラボイヤーブック<電子ブック>
ミドラボでは、活動を始めた1年目から、その1年間の活動をアーカイブとして残すため、「ミドラボイヤーブック」として冊子を製作しております。ミドラボの活動5年間の軌跡をひと通りご覧いただくことが出来ます。
※閲覧のみでご利用いただき、転載不可とさせて頂きます。ご了承下さい。
関連サイト
・皆様の声
「団地に住みながら研究、住民目線の改善提案につなげたい」森口拓生(緑ヶ丘団地:ミドラボ:東京工芸大学大学院工学研究科)
https://www.kosha33.com/kjk70th/voice/post-9.php「"もうひとつのキャンパス"が団地にできたら」 森田芳朗(ミドラボ:東京工芸大学工学部教授)
https://www.kosha33.com/kjk70th/voice/post-10.php・職員紹介
「母校とのコラボを実現、意思が尊重される職場」茶屋道 京佑
https://www.kanagawa-jk.or.jp/recruit/introduction/details.asp?id=19